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更新2021.01.27

 

HOME研究発表アロニア果汁中に存在する血糖値及びHbA1c値上昇抑制物質の探索

学会発表

アロニア果汁による脂肪蓄積抑制機構の解明と関与成分の同定

山根拓也

第91回 日本生化学会大会 2018年9月24日~26日

要約

アロニアには様々な健康効果があり、ポリフェノールを多く含むことが知られています。私たちは、①アロニアに含まれる成分がジペプチジルペプチダーゼIV(DPP IV)やα-グルコシダーゼの活性を小腸で阻害すること、②アロニア果汁摂取による2型糖尿病・肥満モデルKKAyマウスの高血糖改善と脂肪重量の減少、③高脂肪食摂取マウスにアロニア果汁を摂取させると肝臓でarrestin domain-containing 3 (Arrdc3) mRNAの発現が減少すること、などを見出しています。しかし、その分子機構および作用成分は不明です。本研究では、アロニア作用成分の同定と作用機構の解明を目的として、アロニア果汁および逆相クロマトグラフィーで分画した果汁成分を3T3-L1細胞に作用させ、その脂肪蓄積と遺伝子発現に与える影響を調べました。逆相カラムから10、20、30、40、50%メタノールで溶出した各分画を濃縮乾固後、再溶解して用いました。アロニア果汁は、3T3-L1細胞の脂肪蓄積を抑制しました。脂肪細胞への分化が進むにつれてArrdc3 mRNA発現は増加したが、アロニア果汁添加によりその発現増加が抑制されました。一方、Lpl mRNA発現はアロニア果汁添加により分化2日目から増加しました。分画1および3が3T3-L1細胞への脂肪蓄積を抑制しました。Arrdc3はβ- adrenergic receptorに結合してそのリサイクリングを阻害すること、Arrdc3の発現抑制でperoxisome proliferator-activated receptorsの発現が上昇しそれらの下流遺伝子の発現も増加すること、が報告されています。アロニア果汁に含まれる複数の物質がArrdc3発現調節を介した熱産生および脂肪分解に関与することにより、脂肪蓄積を抑制するのではないかと考えられました。

 

アロニア摂取により肥満が改善されることが報告されています(図1)。

 

F1

図1 アロニア摂取による肥満改善効果

 

アロニア果汁の添加によって3T3-L1細胞における脂肪蓄積が抑制されました。また脂肪細胞への分化が進むにつれてArrdc3 mRNA発現は増加しましたが、アロニア果汁添加によりその発現増加は抑制されました(図2)。

 

F2a

F2b

F2c

F2d

図2 アロニア果汁添加による脂肪蓄積抑制効果

次に逆相カラムから10、20、30、40、50%メタノールで溶出した各分画を濃縮乾固後、再溶解して用いました。3T3-L1細胞に添加しました。分画1および3が3T3-L1細胞への脂肪蓄積を抑制しました(図3)。

 

F3a

F3b

 図3 アロニア果汁画分による脂肪蓄積抑制効果

 
そこで分画1と3に含まれる物質をさらに細かく分離しました(図4)。すると分画1には2つ、分画3には5つの物質が主に含まれていることが明らかとなりました。
 

F4a

F4b

図4 Arrdc3発現抑制効果

 
これら7つのピークについてArrdc3発現の影響を見た結果、分画1では効果が無く、分画3の2つのピークにのみ発現抑制効果が認められました(図5)。
F5

図5 Arrdc3発現抑制効果

 

以上の結果から、分画1と3に脂肪蓄積を抑制する物質が存在すると考えられました。今後、質量分析により分画1および3に含まれている物質について同定を行なう必要があります。

 
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