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「おばあちゃんの味」とは
現代ブルガリアにおいて、人びとの食生活にかかせない食品のひとつとしてヨーグルトが頻繁に取り上げられています。さまざまな料理の材料や隠し味、飲み物としてブルガリア人の食卓にほぼ毎日登場しているため、どこの家庭でも冷蔵庫には必ずヨーグルトが入っています。日常生活におけるヨーグルトの重要性から、ブルガリアは現在も世界有数のヨーグルト消費国です。さらに、国全体の消費量の27%-30%を自家生産による消費が占めていることから、ヨーグルトはブルガリア文化に深く根付いている食品だといえます。一般的においしいと思われているヨーグルトとは、ブルガリア菌の働きによって、独自の香りと酸味があり、素朴な味で、質感が濃厚なものです。それは伝統食品として認識されており、「おばあちゃんの味」だといわれています。また、ブルガリア人には手作りヨーグルトへの強い嗜好がありますので。グローバル化の影響で入ってきた果物入りやさまざまな風味が添加されたヨーグルトは発酵乳よりもデザートとして認識されています。
日本では核家族が圧倒的に多いですが、ブルガリアでは今もなお祖父母と一緒に暮らす家族が多く、「おばあちゃん」を中心にヨーグルトやパンと手作りが伝承されています。そのため、ヨーグルトは「おふくろの味」ではなく、「おばあちゃんの味」なのです。各毎年、7月末にはブルガリアの北東部、ラズグラッド地域で、この自家製ヨーグルトを祝う「ヨーグルト祭り」が開催され、周辺の村の女性が自慢のヨーグルトを出展しています。ここは昔から自家製ヨーグルトを最もおいしく作るという定評があり、嫁がおいしいヨーグルトを作れなければ、実家に帰らされたと伝わっています。「科学進歩」がスローガンであった社会主義時代においても、現地の手作りヨーグルトはその定評を失うことなく、共産党トップのなかでも人気があったといわれています。
現在ヨーグルト祭りは、ブルガリアの観光行事カレンダーにおいて重要な地位を占めており国内のみならず、外国の観光業界からも注目を集めています。子どもも、大人も楽しめるようなイベントが多いため、家族で訪れる観光客が大半です。最も人気あるイベントは自家製ヨーグルトのコンテストや手作り体験、民族芸能ショーやパレードなどです。遠くからきた観光客も、地元の人も口をそろえて、おばあちゃんの手作りヨーグルトは「世界一」であると高く評価しています。お土産に彼女たちの作った素焼き壺のヨーグルトを購入しています。一方、おばあちゃんは自信をもって、自慢の味と発酵技術を披露しながら、子どもにヨーグルトの伝統を伝えようとしています。今は「おばあちゃんのヨーグルト」は本地域を訪問した公式代表団や大使などの市賓へのお土産として贈呈されています。
ヨーグルト祭りで人気を博すおばあちゃんのヨーグルト