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更新2021.01.27

 

HOME研究発表アロニア果汁中に存在する血糖値及びHbA1c値上昇抑制物質の探索

学会発表

シアニジン-3,5-ジグルコシド摂取による
血糖値上昇抑制と脂肪蓄積抑制の検討

山根拓也

第73回 日本栄養・食糧学会大会 2019年5月17日~5月19日

要約

アロニアにはポリフェノールが多く含まれ、ガンや生活習慣病などに様々な健康効果があることが報告されています。我々は、これまでの研究でアロニア果汁に含まれるシアニジン-3,5-ジグルコシドがジペプチジルペプチダーゼIV(DPP IV)を阻害することを明らかにし、2型糖尿病・肥満モデルであるKKAyマウスにアロニア果汁を摂取させると、DPP IVとα-グルコシダーゼの活性が小腸で阻害されることを明らかにしてきました。本研究では、KKAyマウスにシアニジン-3,5-ジグルコシドを摂取させ、DPP IV活性が阻害されるかについて検討を行ないました。KKAyマウスを水摂取群(コントロール群)、アロニア果汁摂取群(アロニア群)、シアニジン-3,5-ジグルコシド摂取群(Cy-dg群)の3群に分け、49日間飲用させた結果、血糖値およびヘモグロビンA1c (HbA1c) 値はアロニア群、Cy-dg群では上昇が抑制され、その減少割合はCy-dg群ではアロニア群の約50%程度でした。また、血中のDPP IV活性について測定したところ、アロニア群、Cy-dg群で活性が阻害され、Cy-dg群での阻害率はアロニア群の50%程度でした。血中の活性型glucagon-like peptide-1 (GLP-1) 濃度はアロニア群、Cy-dg群で上昇し、Cy-dg群での上昇率はアロニア群の50%程度でした。これらの結果から、DPP IVによるGLP-1の分解・不活化がシアニジン-3,5-ジグルコシドにより阻害され、血糖値、HbA1c値の上昇を抑制したと考えられました。一方、アロニア群では白色脂肪組織重量および肝臓含有中性脂肪の減少が確認されましたが、Cy-dg群では認められませんでした。これらの結果について報告します。

これまでにアロニア果汁摂取による2型糖尿病改善効果については以下に示すような報告があります。

T1

以前の研究で我々はアロニア果汁に含まれるシアニジン-3,5-ジグルコシドがジペプチジルペプチダーゼIV(DPP IV)を阻害することを明らかにしました。そこで、シアニジン-3,5-ジグルコシドを2型糖尿病・肥満モデルであるKKAyマウスに摂取させ、その効果を検討しました。実験は図1に示すスケジュールで行いました。

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図1 実験スケジュール

その結果、シアニジン-3,5-ジグルコシドを摂取させたKKAyマウスにおいて、血糖値およびHbA1c値上昇抑制効果が認められ(図2)、2型糖尿病改善効果があることが示されました。

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図2 シアニジン-3,5-ジグルコシド摂取による2型糖尿病改善効果

さらに、血中のDPP IV活性について測定したところ、シアニジン-3,5-ジグルコシドを摂取させたKKAyマウスにおいて活性が阻害され、血中の活性型glucagon-like peptide-1 (GLP-1) 濃度が上昇しました(図3)。

F3-1
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図3 シアニジン-3,5-ジグルコシド摂取による血中DPP IV活性
および活性型GLP-1濃度の変化

 

これらの結果から、DPP IVによるGLP-1の分解・不活化がシアニジン-3,5-ジグルコシドにより阻害され、2型糖尿病進行による血糖値、HbA1c値の上昇を抑制したと考えられました。

一方、アロニア果汁摂取では脂肪組織重量や肝臓中の中性脂肪を低下させる効果がありますが、シアニジン-3,5-ジグルコシド摂取ではその効果は認められませんでした(図4)。

F4_1

F4_2

図4 アロニア果汁画分による脂肪蓄積抑制効果

以上の結果から、シアニジン-3,5-ジグルコシドの摂取はDPP IV活性阻害を介した血糖値およびHbA1c値の2型糖尿病進行に伴う上昇の抑制に関与するが、脂肪蓄積抑制には効果を示さないことが明らかとなりました。

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