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更新2021.01.27

 

HOME研究発表アロニア果汁中に存在する血糖値及びHbA1c値上昇抑制物質の探索

学会発表

アロニア果汁含有HMG-CoAレダクダーゼ阻害物質の探索

小塚美由記

第72回日本栄養・食糧学会大会 2018年5月11日~5月13日

要旨

アロニアには様々な健康効果があることが知られています。その中の一つとして、LDL-コレステロールを減少させる効果があることが報告されています。これまでの研究で、マウスにアロニア果汁を摂取させると血中LDL-コレステロールが減少すること、アロニア果汁にHMG-CoAレダクダーゼ阻害活性があることを明らかにしてきました。HMG-CoAレダクダーゼは、肝臓においてはコレステロール合成系で働きます。したがって、本酵素の阻害剤は肝細胞内のコレステロールを減少させることにより血中から肝臓へのLDL-コレステロールの取り込みを増加させ、血中LDL-コレステロールが減少すると考えられています。そこで、本研究ではアロニア果汁中に含まれるHMG-CoAレダクダーゼ阻害物質を探索しました。逆相クロマトグラフィーを用いて分離を行ない、得られた27の分画についてHMG-CoAレダクダーゼ阻害活性を測定しました。その結果、19番目のフラクションに阻害活性があることが判明しました。このフラクションを培地に加えてもHepG2細胞のHMG-CoA レダクターゼmRNA発現は変化しませんでした。これらの結果から、このフラクションに含まれる物質はHMG-CoA レダクターゼ活性を直接阻害するものであり、sterol regulatory element (SRE) を介したLDLRの転写調節には関与しないと考えられました。現在、このフラクションに含まれるHMG-CoA レダクターゼ活性阻害物質の同定を進めています。

 

アロニアには様々な健康効果があることが知られており、その中の一つにLDL-コレステロールを減少させる効果があることが報告されています(図1)。

 

F1

図1 アロニア果汁および抽出物摂取によるLDL-コレステロール上昇抑制効果

 

アロニア果汁を逆相カラムで分離したところ、HMG-CoA レダクターゼ活性阻害が分画19で認められましたが、LDLRのmRNA発現には関与しませんでした(図2)。

 

図2 アロニア果汁中のLDLR mRNA 発現抑制

 

また、LDL受容体遺伝子転写調節について調べたところ、アロニア果汁含有物質は転写調節に影響を及ぼさないことが判明しました。

 

図3 アロニア果汁添加によるLDL受容体遺伝子転写調節

 

 これらの結果から、アロニア果汁含有物質はLDL遺伝子の転写調節を介してではなくHMG-CoAレダクターゼ阻害によって血中LDL-コレステロールを減少させている可能性が高いと考えられました。今後、活性物質の同定およびそのメカニズムの解明が必要です。

 

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