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更新2021.01.27

 

HOME研究発表アロニア果汁中に存在する血糖値及びHbA1c値上昇抑制物質の探索

学会発表

アロニア果汁含有成分による脂肪蓄積抑制効果

山根拓也

第72回 日本栄養・食糧学会大会 2018年5月11日~5月13日

要約

アロニアはポリフェノールを多く含み、様々な健康効果があることが知られています。以前の研究で私たちはアロニアに含まれる成分によりジペプチジルペプチダーゼIV(DPP IV)やα-グルコシダーゼ活性が小腸で阻害されることを報告しました。アロニア果汁を摂取すると、DPP IVによるglucagon-like peptide-1の分解・不活化が阻害され、高血糖が改善されます。高脂肪食摂取マウスにアロニアを摂取させると肝臓でarrestin domain-containing 3 (Arrdc3) mRNA発現が減少します。そこで、本研究では、C57BL/6および糖尿病・肥満モデルであるKKAyマウスにアロニア果汁を摂取させ、その白色脂肪組織においてArrdc3 mRNAの減少が起こるかどうか検討し、さらに3T3-L1細胞を用い、アロニア果汁による脂肪蓄積抑制効果と遺伝子発現変化についてさらに詳しく調べました。その結果、アロニア果汁摂取群の白色脂肪組織では脂肪細胞の縮小、Arrdc3発現の減少およびPparg、Lpl発現の増加が認められました。アロニア果汁を培地に添加した3T3-L1細胞では脂肪蓄積が抑制され、Arrdc3発現の減少が観察されました。Arrdc3ノックアウトマウスでは、皮下や内臓脂肪がコントロールマウスと比較して減少し、Pparsの発現が上昇することが報告されています。Arrdc3発現減少によりPparg発現が増加することでLpl発現の増加が起こり、脂肪蓄積が抑制されているのではないかと考えられました。

 

 C57BL/6および糖尿病・肥満モデルであるKKAyマウスにアロニア果汁を28日間摂取させ、白色脂肪組織を採取しました(図1)。

 
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図1 実験スケジュール

 

白色脂肪組織を染色し、その脂肪細胞のサイズを測定したところ、アロニア果汁を摂取したマウスの脂肪細胞が縮小していることが明らかとなりました(図2)。

 
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図2 アロニア果汁摂取による脂肪蓄積減少効果

 

さらに、白色脂肪組織における遺伝子発現変化について測定したところ、Arrdc3発現の減少およびPparg、Lpl発現の増加が認められました(図3)。

 

F3

図3 白色脂肪組織における遺伝子発現変化

 

また3T3-L1細胞にアロニア果汁を添加し、脂肪蓄積に与える影響を検討したところ、アロニア果汁添加で脂肪細胞への脂肪蓄積が抑制され、そのときArrdc3発現の上昇も抑制されることが判明した(図4)。

 
F4

図4  3T3-L1細胞における遺伝子発現変化

 
以上の結果から、アロニア果汁摂取および添加で脂肪蓄積抑制を示すことが判明したことから、アロニア果汁には脂肪蓄積抑制に関与する物質の存在が示唆された。今後、関与成分の同定が必要である。
 
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