ケフィアニュース

Volume 27.Number 1(January 1.2020)

ホームメイド・ヴィーリ新発売

本邦初、フィンランドで人気のヴィーリを家庭で作れるようになりました。

コーカサスのケフィア、ブルガリアのヨーグルトにフィンランドのヴィーリが加わり、世界の三大発酵乳の乳酸菌カルチャーが揃いました。弊社はLactic Culture専門店として皆様の健康管理のお役に立てることを願っています。

どれを選んだら良いのか、それぞれの特徴を簡単に説明します。

 

◯ホームメイド・ヴィーリ:食物繊維(菌体外多糖:Exopolysaccharide以下EPSと表示)を生成し粘着性のある発酵乳、トルコアイスのように伸びるのが特徴です。

◯ホームメイド・ケフィア:免疫力を高める発酵乳、酵母と乳酸菌の共生でつくる美味し さは発酵乳随ーです

◯ホームメイド・ヨーグルト(プロバイオティクスGBN1):豆乳で発酵して新鮮なビフィズス菌ヨーグルトを作れます。コレステロールが気になる方にお勧めします。

ホームメイド・ヴィーリの発売にあたり

スカンジナビア地方の発酵乳

発酵乳の歴史は人類の歴史とともに古いと言われますが、世界にはその地方の風土に根ざした伝統的な発酵乳が存在し、古来発酵乳は家庭で手作りしながら受け継がれてきました。ロシアのコーカサス地方のケフィア、ブルガリアのスモリャン地方のヨーグルトなどは有名ですが、スカンジナビア地方で伝統的 に作られてきた発酵乳の多くは強い粘りがあり、世界でも例を見ない特殊なものです。その代表的なものとしてスウェーデンのラングフィル、ノルウェーのテッテメルク、フィンランドのヴィーリがあげられます。中でもヴィーリは近年フィ ンランドの乳業会社が工業的規模で製造販売するようになり、フィンランドのスーパーでは発酵乳の中でも大きなシェアを占めるようになりました。そして今ではヴィーリはフィンランド以外の国では販売されていません。ちなみにフィンランドの発酵乳の消費量は1人当たり年間37kgで世界ーです。その内ヴィーリの消費量は4.5kgです。日本人1人当たり発酵乳の年間消費量6~7k gと比較してもフィンランドの人々が如何にヴィーリを好んでいるかよくわかります。

 

伝統的な発酵乳ヴィーリ

ヴィーリは発酵乳酸菌ラクトコッカス・クレモリスがつくるエキソポリサッカライドによって粘りを生じます。エキソ(菌体外に)ポリ(多く)サッカライド(糖)は、乳酸菌がつくる食物繊維(菌体外多糖:Exopolysaccharide以下EPSと記載)です。

ヴィーリの発酵乳酸菌は、上述のラクトコッカス・クレモリスの他に、ラクトコッカス・ラクチス、ラクトコッカス・ジアセチラクチスおよびロイコノストック・クレモリスです。

フィンランドの家庭で伝統的に作られてきたヴィーリには、ジオトリカム・カンディダムというカビが含まれており、文献1) によれば発酵したヴィーリの表面はカマンベールチーズに見られるように白いカビで覆われていると記載されています。

 

ヴィーリを日本で発売したい

フィンランドはご存じムーミンの国です。“ムーミンママのお料理の本” にもヴィーリは載っていますが、“ヴィーリは残念ながら日本にはありません”と書かれています。

日本に無いのであれば日本の消費者のためにヴィーリを発売したいと思いました。私は29年前に当時日本に無かったケフィアを発売し、今では多くの愛好者がいます。ヴィーリを発売することは私に与えられた使命かもしれない。しかしカビが生えたヨーグルトを好む日本人がいるだろうか?

 

フィンランドのスーパーには発酵乳が豊富 ヴィーリもたくさん売っていました

日本でヴィーリを発売するにあたり、フィンランドで販売しているヴィーリに本当にカビが生えているか確かめたいと思いました。そのために私はフィンランドヘ行ってきました。

ヘルシンキには、ヘルシンキ中央駅の近くにKスーパー、Sスーパーと大きなスーパーが2店あり、ショッピングセンター“カンピ” の地下にも大きなスーパーがありました。全部のスーパーの発酵乳の売り場を見て回りましたが、いずれのスーパーでも発酵乳の売 り場は非常に広く、フィンランドの人々の発酵乳の消費量が多いことがよくわかります。

ショッピングセンター“カンピ”で買ったヴィーリです。Viiliはプレーンヴィーリ、Viilisはフルーツヴィーリ、右上の2個はジャム入りヴィーリです。他のスーパーで上の写真に見えるヴィーリの他に4種類のヴィーリを入手しました。

 

スーパーで販売しているヴィーリにはカビがない

ホテルに帰りスーパーで購入したヴィーリについて、次の項目について調査しました。

1)カビ、2)伸び、3)風味

第7図に見る通りカビはありませんでしたが、表面にバター層が見えます(第8図)。プレーンのヴィーリはノンホモ牛乳(脂肪を均質化していない牛乳)を発酵させていることがわかります。搾乳した牛乳を放置しておくと脂肪が浮上してバター層が出来ます。現在の市販牛乳は脂肪の浮上を防ぐために均質化(ホモゲナイズ) していますが、均質化技術は比較的新しい技術ですから、伝統的なヴィーリにはバター層があるのは当然です。乳業会社が製造するヴィーリは伝統を踏襲してノンホモ牛乳で発酵させているようですが、カビ付けまでは踏襲していないようで、市販のヴィーリにはカビがありませんでした。

第9図に示すように乳業会社が製造しているヴィーリにも強い粘りがあり、写真に見る通りかき混ぜてスプーンですくうと、ピザのチーズのようによく伸びました。風味も酸味が少なくチーズのようでした。

フレーバーヴィーリはフタが少し膨らんでいます。これは糖を加えて発酵させているから、ヘテロ乳酸発酵をするロイコノストック・クレモリスが炭酸ガスを出しているためであろうと思います。

第11図に見る通りフレーバーヴィーリには、カビもバター層もありませんでした。フレーバーヴィーリはパッケージに描かれているフルーツの香りがします。チョコレート風味のヴィーリなど珍しいフレーバーのヴィーリもありました。

 

ヘルシンキのスーパーで21種類のヴィーリを人手しました(第5図以外に4種類入手)。入手したヴィーリを全部開封してカビがあるか調べましたが、カビのあるヴィーリはありませんでした。

伝統的に家庭で作られてきたヴィーリにはジオトリカム・カンデイダムが存在しカビが生えていましたが、乳業会社が製造してスーパーで販売しているヴィーリにはカビがありません。カビの存在はヴィーリの必要条件でないことがわかりました。

ヴィーリの特徴は、強い粘りとトルコアイスのように伸びることにあります。

 

フィンランドで人気のヴィーリを日本の家庭で作れます

スカンジナビア地方の伝統的発酵乳ヴィーリから分離した乳酸菌ラクトコッカス・クレモリスで牛乳を発 酵させると、強い粘りのある発酵乳を作れることがわかりました。ラクトコッカス・ラクチス、ラクトコッカス・ダイアセチラクチス、ロイコノストック・クレモリスを加えて牛乳を発酵させると、フィンランドのスーパーで購入したヴィーリと同じ風味と粘りを持つ発酵乳が出来ました。ジオトリカム・カンデイダムを加えていません。

本邦初のヴィーリです。フィンランド以外の国では販売していないヴィーリを、日本の家庭で簡単に作れ るなんてすばらしいと思いませんか! !

 

ヴィーリの人気の秘密

“粘りのある食物は体にいい”。 これは私の推察ですがフィンランドの人々もそう思っているに違いない。ヴィーリの人気の秘密は粘りにあります。その粘りの素は乳酸菌のつく る食物繊維(EPS)です。

最近の科学の進歩は、ヴィーリの粘りの素である乳酸菌のつくる食物繊維(EPS)の健康効果を解明しつつあります。

ひとつは、プレバイオティクス効果です。 乳酸菌のつくる食物繊維(EPS)は難消化性 ですから、胃や小腸で分解吸収されないで、大腸に達してビフィズス菌などの栄養源になり、腸内フローラを善玉菌優勢の腸内フローラにすることがわかりました。

もう一つの効果は、免疫を活性化する効果です。 これに関しては最近いくつかの研究論文が発表されています。私達も研究テーマとして取り上げていますので、 ご期待ください。

 

参考文献

  1. 1)筒井静子他 粘質発酵乳 “Viili” の基本的性質について:J.Rakunou Gakuen Univ., 22(2) 231-237 (1998)

ヴィーリ由来EPS摂取による
短鎖脂肪酸産生の変化

有限会社中垣技術士事務所

食品科学研究所長 山根拓也(医学博士)

ヴィーリによる食物繊維(菌体外多糖:Exopolysaccharide以下EPSと記載)の産生

ヴィーリはフィンランドで多く食される伝統発酵乳です。ヴィーリにはEPSを作り出す乳酸菌ラクトコッカス・クレモリスが存在し、その特徴的な粘りを創り出しています。

EPSはその名前の通り、菌が体外へ放出する多糖類の総称でその構成糖は菌によって異なります。乳酸菌から作り出されるEPSを摂取することによって期待できる効果としては①免疫を調節しやすくしたり、②抗炎症や抗酸化といった体を病気の発症から守ったり、③血中のコレステロール濃度を抑えて血管が傷つくのを防いだりしてくれます。もちろん消化管にも働いて、プレバイオティック効果や抗潰瘍についての効果が報告されています(1)。EPSのこのような機能は次にお話しする短鎖脂肪酸によって起こることが分かってきました。

 

腸内細菌による短鎖脂肪酸産生とその作用

EPSのような食物繊維を摂取すると腸内細菌によって短鎖脂肪酸が作られます。短鎖脂肪酸には酢酸、プロピオン酸、酪酸などがあり、腸内細菌によって腸内で作られた後、腸管の細胞に働きます。例えば酢酸には悪玉菌を退治する殺菌作用、増殖を抑える静菌作用があり、酢酸やプロピオン酸はウィルスや病原菌の侵入を防ぐ腸の粘膜を維持する働きがあります。さらにコレステロール合成を低下させる作用もあります(図1)。

 

ホームメイド・ヴィーリで発酵したヴィーリから抽出したEPS

本研究では、ホームメイド・ヴィーリで牛乳を発酵させたヴィーリ1kgから40mgのEPSを抽出しました。抽出したEPSを電子顕微鏡で観察した像を図2に示します。

 

ヴィーリから抽出したEPSをマウスに食べさせる

ヴィーリから抽出したEPSをマウスに28日間食べさせて糞便を採取しました。ヴィーリ由来EPSの摂取量は1日当たり50μgでした。体重の変化は減少傾向を示しましたが、有意な差は認められませんでした(図3)。

 

EPSを摂食するとマウスの腸内で酪酸が増加する

28日間EPSを食べたマウスの党便から短鎖脂肪酸を抽出し、その量的な変化について検討したところ、酪酸が有意に増加していることが明らかとなりました(図4)。

 

腸内細菌によって作られた酪酸の機能性

酪酸は炭素が4つからなる短鎖脂肪酸で、図5に示すように大腸はもちろんのこと、肝臓や脂肪組織、骨格筋に対して様々な機能を持っています。

 

大腸においては主に炎症抑制作用に働くほか、大腸細胞ヘエネルギーを供給したり、細胞間のつなぎ目(タイトジャンクション)を維持することで腸管バリアを保護し、食べ物や腸内細薗が作り出した物質の侵入を制御する働きがあります。さらに肝臓や骨格筋では脂肪が蓄積するのを抑制したり、白色脂肪細胞を褐色化させてエネルギー消費量を増加させる働きがあると言われています。つまり酪酸は免疫機能向上だけでなく脂肪の蓄積や炎症を抑えることで、肥満や2型糖尿病の原因にもなるインスリン抵抗性の予防にも効果があると考えられています。さらに酪酸塩の摂取でも酪酸と同様の働きがあることが報告されています(2,3)。

 

まとめ

ホームメイド・ヴィーリを作る際に使用する牛乳にも脂肪酸中に4%程度の酪酸が含まれており、EPS摂取により糞便中の酪酸が増加したことと合わせて考えると、ヴィーリの摂取により酪酸摂取によるプレバイオティクス効果とEPS摂取による腸内細菌叢変化による腸内における酪酸産生によって相乗的な酪酸の効果により、健康維持に繋がることが期待されます。

 

参考文献

  1. (1)KorczE,Kerenyi Z,Varga L.Food Funct. 2018, 9(6):3057-3068.
  2. (2)Zeng H,Umar S,Rust B,Lazarova D, Bordonaro M.Int J Mol Sci. 2019, 20(5):E 1214.
  3. (3)McNabney SM, Henagan TM. Nutrients. 2017, 9(12):E1348.

【研究所この一年】

アロニア果汁含有成分による健康効果

有限会社中垣技術士事務所

食品科学研究所長 山根拓也(医学博士)

 

アロニアはポリフェノール高含有のベリーであり、そのポリフェノールの中でもアントシアニン類が豊富に含まれていることが知られています。アロニアベリーには健康効果に対する機能性がこれまでに報告されています。 例えば、高血糖、高脂血症や高血圧改善といった2型糖尿病や肥満、心血管疾患の原因となる症状の改善についての報告があり、アロニアベリーの摂取による生活習慣病予防・改善が期待されています。

食品科学研究所ではアロニアベリーが有するこれらの機能性がどのような物質によって、そしてどのようなメカニズムによって発揮されるのかに着目し、これまで研究を行ってきました。その中で最近得られた知見についていくつかご紹介します。

 

1) アロニア果汁およびシアニジン-3,5-ジグルコシド摂取による高血糖改善効果

アロニア呆汁中に含まれるシアニジン-3,5-ジグルコシドがジペプチジルペプチダーゼIV(DPPIV)を阻害することを報告しました(1)。さらに、シアニジン-3,5—ジグルコシド摂取により、2型糖尿病進行に伴う血糖値およびHbA1c値の上昇が抑制されました(図1,)2 。

 

しかし、本成分投与により、白色脂肪組織重量はコントロール群と変化を認めませんでした(図3)。この結果から、アロニア果汁投与による白色脂肪組織重量の低下作用は、シアニジン-3,5-ジグルコシドのみの作用ではなく、アロニア果汁中の他の新たな成分も寄与していることが示唆されました(2)。

2)アロニア果汁摂取による脂肪蓄積抑制効果

アロニア果汁をマウスに28日間摂取させると白色脂肪組織重量が減少していることを以前の研究で明らかにしていますが(3)、さらに最近の研究において白色脂肪組織の細胞が縮小することが明らかとなりました(図4)。

図4に示す結果と脂肪細胞への脂肪の蓄積を指標に行なったアロニア果汁中に存在する脂肪蓄積抑制物質のスクリーニング結果から、フラボノイドに糖が結合したフラボノイド配糖体や低分子ポリフェノールなどによる複数の成分による効果であることが明らかとなりつつあり、いくつかのメカニズムを介して脂肪組織への脂肪蓄積抑制作用を発揮している可能性が高いと考えられています。

 

3)アロニア果汁含有アントシアニンによるコレステロール合成阻害の可能性

最近の研究においてアロニア果汁中にHMG-CoA—レダクターゼ阻害活性があることを見出しました(図5)。HMG-CoA—レダクターゼは肝臓においてコレステロール合成に関与する非常に重要な酵素であり、この酵素の阻害剤は血中LDL—コレステロールを低下させるための薬としても使用されています。アロニアには血中のLDL—コレステロールを低下させる作用がヒト臨床試験結果として報告されており(4)、アロニア果汁摂取により肝臓中のHMG-CoA—レダクターゼが阻害されることで血中LDL-コレステロールが低下するのではないかと考えています。

 

実際にアロニア果汁中にはHMG-CoA レダクターゼ活性を阻害する物質が存在し、その物質がアントシアニンの配糖体であることを明らかにしました(5)。

 

参考文献

  1. (1)Kozuka M,Yamane T,Nakano Y,Nakagaki T,Ohkubo I,Ariga H.Biochem Biophys Res Commun. 2015, 465(3):433-436.
  2. (2)Yamane T,Imai M,Randa S,Yamada K,Sakamoto T,Ishida T,Inui H,Yamamoto Y,Nakagaki T, Nakano Y. J Funct. Food 2019, 58:21-26.
  3. (3)Yamane T,Kozuka M,Konda D,Nakano Y,Nakagaki T,Ohkubo I,Ariga H.J Nutr Biochem. 2016, 31:106-112.
  4. (4)Sikora J,Broncel M,Markowicz M,Chalubinski M,Wojdan K,Mikiciuk-Olasik E.Eur J Nutr. 2012, 51(5):549-556.
  5. (5)Kozuka M,Yamane T,Imai M,Randa S,Takenaka S,Sakamoto T,Ishida T,Inui H,Yamamoto Y,Nakagaki T,Nakano Y.Food Biosci. 2019, in press. 15

消費税率変更に伴う価格変更のお知らせ

10月1日より消費税率が10%になりましたが、弊社商品はケフィア菌、ヨーグルト菌、アロニア果汁、ハチミツ、ジャム、サプリメントなどは食品ですから軽減税率対象になりますので、消費税は8%のまま変更がございません。

但し、食品以外の商品すなわち発酵器具などは軽減税率が適用されませんので、消費税が10%に変更になります。

スターターキットなど乳酸菌と発酵器具がセットになっている商品も、軽減税率が適用されず消費税が10%になりますが、お客様の負担増にならないように会員価格の割引率を10%引きから12%引きに変更しました。

【編集後記】

腸内フローラを善玉菌優勢に保つことは健康長寿の秘訣です。そして善玉菌の代表はビフィズス菌です。ビフィズス菌は腸内で酢酸を作って、病原菌の侵入を防ぐ働きをしています。ホームメイド・ケフィアで牛乳を発酵させ、ケフィアを作って食べた人の糞便を分析すると、酢酸が多く検出されます。ホームメイド・ケフィアにはビフィズス菌を含有していませんが、糞便中に酢酸が多く検出されることは、本来その人の体内にいたビフィズス菌がケフィアを食べることによって増えたことを示しています。

ホームメイド・ヨーグルト(プロバイオティクスGBN1)にはビフィズス菌を含有しています。しかしビフィズス菌は栄養要求が難しく、牛乳で発酵させてもなかなか増えません。ところが豆乳で発酵させると飛躍的にビフィズス菌が増えることがわかりました。プロバイオティクスGBN1で豆乳ヨーグルトを作って食べることによって、腸内フローラを善玉薗優勢に保つことが出来ます。

ホームメイド・ヴィーリは食物繊維(菌体外多糖:Exopolysaccharide略称EPS)を作ります。牛乳をホームメイド・ヴィーリで発酵させると、非常に粘りの強い発酵乳が出来ます。その粘質物こそ食物繊維です。ヴィーリの食物繊維は難消化性であり、冑や小腸で消化吸収されずに大腸に達し、腸内フローラの栄養源になります。

本号では、ヴィーリ中の食物繊維を分離精製し、マウスに食べさせた実験結果を示しました。ヴィーリの生成する食物繊維を食べさせたマウスの蕊便の短鎖脂肪酸を分析した結果、酪酸が増えていることを見出しました。ヴィーリの食物繊維を食べたマウスの腸内で、酪酸を生成する酪酸菌が増えたことを示しています。酪酸は免疫を制御する働きがあるとして最近注目されている成分です。

従来、腸内フローラの善玉菌は、ビフィズス菌と乳酸菌と思っていましたが、酪酸の働きが解明されつつあるいま、私たちは酪酸を生成する酪酸菌も善至菌に加えなければならないと考えています

(編集子 中垣剛典)

Volume 27 Number 1 (January 1. 2020)
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