アロニア果汁摂取による
高血糖・肥満抑制とその遺伝子発現変化

山根拓也
第89回日本生化学会大会 

2016年9月25日~9月27日

 

 

要旨 

アロニア果汁摂取による健康効果の一つとして、糖尿病・肥満改善効果があります。本果汁中に存在するシアニジン-3,5-ジグルコシドは、ジペプチジルペプチダーゼ IV (DPP IV) の活性阻害を介して、血糖値およびヘモグロビンA1c(HbA1c)値上昇抑制効果を示します。しかし、その抑制効果は果汁摂取と比較して弱く、これ以外にも抑制物質がアロニア果汁に存在することが示唆されています。そこで、本研究では、α-グルコシダーゼ阻害物質やシアニジン-3,5-ジグルコシド以外のDPP IV阻害物質をアロニア果汁中に探索しました。アロニア果汁成分を逆相カラムに吸着させ、溶出液のメタノール濃度を10%から50%まで10%おきに段階的に上げて、5分画を得ました。この5分画をそれぞれ濃縮乾固後、緩衝液で再溶解して活性測定に用いました。α-グルコシダーゼ阻害活性を測定した結果、分画1と2 に阻害活性が認められました。そこで、分画1に含まれる成分を逆相HPLCでさらに分離し、各ピーク成分のLC-MS/MSによる分析を現在進めています。

 

アロニア摂取により肥満が改善されることが報告されています(図1)。

 

図1 アロニア果汁摂取による肝臓における遺伝子発現変化

 

その他の臓器においても発現変化が認められました(図2)。

 
F2

図2 その他の臓器における遺伝子発現変化

 

以上の結果から、C57BL6およびKKAyマウス肝臓において顕著にArrdc 3遺伝子発現が減少することが判明しました。また、Igfbp1Gadd45gなどの遺伝子は肝臓よりも腎臓や小腸、脾臓での発現変化の方が大きいことが明らかとなりました。