山根拓也 第70回日本栄養・食糧学会大会 2016年5月13日~5月15日 |
要旨 アロニアの効能については古くから知られており、様々な効果が数多く報告されています。しかしそのメカニズムについては明らかになっていないものが多くあります。最近、我々はGIPやGLP-1のN末端を分解し、不活化するジペプチジルペプチダーゼIV(DPP IV)を阻害する物質をアロニア果汁中に見出しました(BBRC 2015)。アロニア果汁による抗糖尿病効果がDPP IV阻害を介して起こるのではないかと考え、検討を行ないました。糖尿病モデルマウスであるKKAyマウスにアロニア果汁を摂取させ、3~4日おきに血糖値と体重を測定しました。28日後に脂肪組織、血清、小腸を採取し、重量測定、DPP IV阻害活性、α-グルコシダーゼ阻害活性を測定しました。コントロールにはアロニア果汁を摂取していないKKAyマウスおよびC57BL6マウスを用いました。その結果、体重および血糖値はアロニア果汁を摂取したKKAyマウスで摂取7日目から有意に減少しました。また、DPP IV活性はアロニア果汁を摂取したKKAyマウス小腸において抑制されました。さらにアロニア果汁にはα-グルコシダーゼ阻害活性があり、アロニア果汁を摂取したKKAyマウス小腸上部においてα-グルコシダーゼ阻害が起こっていました。以上の結果から、アロニア果汁にはDPP IV阻害、α-グルコシダーゼ阻害といった少なくとも2つの機能性があり、これらの機能により高血糖の改善効果が得られることが示唆されました。 | |
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アロニア果汁摂取により2型糖尿病進行における血糖値上昇が抑制されることが明らかとなりました(図1)。 |
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図1 アロニア果汁摂取による血糖値上昇抑制効果 |
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図2 小腸におけるDPP IV活性阻害 |
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さらにKKAyマウス小腸上部においてα-グルコシダーゼ阻害が起こることが明らかとなりました(図3)。
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図3 小腸上部におけるα-グルコシダーゼ阻害 |
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以上の結果から、アロニア果汁摂取はDPP IV阻害、α-グルコシダーゼ阻害といった少なくとも2つの機能の相乗効果により血糖値上昇を抑制していると考えられた。 |
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